学生のころ、メモを取ることはごく自然なことでした。ところが、社会人になると、多くの人たちがメモを取らなくなってしまいます。会社員として働いていても、自分でビジネスをしていても同じです。「あとで読もう」と何かをブックマークすることはあっても、コンテンツを読みながら能動的にメモを取るという習慣は、あまり一般的ではありません。
「メモの取り方なんて関係ない。大事なのは、とにかくメモを取ることだ」
──ビル・ゲイツ
ゲイツのこの言葉に、私は100%賛成というわけではありません。メモの取り方によって、効果に差が出ることは確かだからです。とはいえ、科学が示しているのは明らかです。メモを取ること自体に、多くのメリットがあるのです。では、そのメリットを簡単に見ていきましょう。
学習効果が高まる
研究によると、メモを取ることで、読んだ内容をより良く記憶できるようになります。なぜでしょうか。メモを取るという作業に必要な努力が、脳内に新しい神経回路を形成し、情報を長期記憶に定着しやすい形でエンコード(符号化)してくれるからです。ただ受け身で情報を取り込むだけでは、このようなことは効果的には起こりません。
量が質に勝る
創造性と同じで、メモにおいても量は質より重要です。研究によると、メモをたくさん取る人ほど、あとで思い出せる情報が多くなる傾向があります。ですから、短くまとめようとしなくて大丈夫です。どんどん気前よくメモを取りましょう。
視覚を活用する
メモを取るとき、言葉だけにとどまらないでください。研究によると、文字だけで書くのに比べて、メモにスケッチを加えると学習効果が大きく高まります。概念や関係性、より良く覚えたい用語などを絵にしてみるのです。これは「描画効果(The Drawing Effect)」と呼ばれています。
手書きのほうが効果的
可能であれば、手書きでメモを取ってみてください。研究では、パソコンでメモを取るよりも、手書きでメモを取るほうが、学習にも記憶にも良いことがわかっています。
代表的なメモ術
メモの取り方は人それぞれ少しずつ違います。でも、まだ自分なりの方法が決まっていない人のために、実績があり効果が証明されているメモ術をいくつかご紹介します。これらを試すことで、あなたのメモをより効果的なものにできるはずです。

コーネル式
このメモ術は、1940年代にコーネル大学のウォルター・パウク教授によって考案されました。紙を3つのセクションに分けて使います。「メモ」「キュー(手がかり)」「要約」の3つです。メインのエリアにメモを取り、左側の欄にはキーポイントやアクションアイテムなどのキュー(手がかり)を書き込みます。会議、授業、イベントが終わったあと、あるいは動画を見終わったり、ブログ記事を読み終わったりしたら、数分かけてページの下部にすべてを要約します。私自身は、講義やカンファレンスでペンと紙を使ってメモを取るとき、このコーネル式をよく使っています。

マインドマップ
枝分かれを使って情報を視覚的にマッピングするという考え方は、何世紀も前から存在しています。このメモ術は、視覚優位の学習者に最適で、概念同士のつながりを能動的に形成することで、能動的な学習を最大化するのに役立ちます。中央にメインのトピックや話の出発点を書き、その周りに関連するアイデアをノード(節)として描いていきます。マインドマップをさらに次のレベルに引き上げたいなら、Roam Researchを試してみてください。マインドマップの強化版といえるツールです。

チャート式
正直なところ、私が普段触れるコンテンツのほとんどには、この方法は柔軟性が足りないと感じています。ただし、カテゴリーに分解できるトピックには威力を発揮します。たとえば、類似点と相違点、日付、出来事などです。各行は、学んでいるアイデアの要素を記述するために使い、各列はその要素の側面を詳しく書くために使います。ご覧のとおり、この方法は非常に特定の種類の構造化されたデータにのみ適しています。
ここまで紹介したのは、比較的伝統的なメモ術です。もうひとつ、私が特に便利だと感じているのが、情報のインプット(消費)をクリエイティブなアウトプット(創造)に変えるのに役立つゼッテルカステン法です。名前は難しそうに聞こえますが、実際にはとてもシンプルです。そして、たくさんメモを取ったのに二度と見返さないという、よくある落とし穴を避けることができます。『How to Take Smart Notes』(邦題『TAKE NOTES!──メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる』)という本が、このメモ術の素晴らしい入門書になっています。
これらの方法が、あなたのお役に立てばうれしいです。ぜひ、もっと頻繁にメモを取り始めてみてください。メモを取ることは、生産性と創造性を高めるためのとても効果的な方法です。読んだ情報を長期記憶に確実に定着させ、オリジナルのコンテンツを生み出したいときにいつでも簡単に引き出せるようにしてくれます。
