ライフ 2025年11月27日

Text by SPARK Daily

「8180万人」が一斉移動。感謝祭が生むアメリカの帰省ラッシュ

「8180万人」が一斉移動。感謝祭が生むアメリカの帰省ラッシュ

毎年11月の第4木曜日、アメリカで「感謝祭(サンクスギビング)」を迎える。家族が集まり、七面鳥を囲む祝日として知られているが、この時期、8180万人が一斉に移動する。アメリカ人の約4人に1人。東京都の人口の6倍。日本の総人口の65%に相当する規模だ。なぜ、これほどまでに移動するのか?

感謝祭という「家族の日」

感謝祭は、アメリカで最も重要な祝日の一つだ。翌日の金曜日も休日になることが多い。家族が一堂に会し、七面鳥、マッシュポテト、クランベリーソースといった伝統的な料理を囲む。

この祝日は、1621年にプリマス植民地の入植者たちが先住民とともに収穫を祝ったことに由来する。以来、400年以上にわたり、アメリカ人にとって「家族と過ごす日」として定着してきた。

重要なのは、感謝祭が「旅行の日」ではなく「帰省の日」だということだ。多くのアメリカ人にとって、この日に家族と過ごさないという選択肢は、ほとんど考えられない。

8180万人という規模

2025年11月25日から12月1日までの感謝祭期間、アメリカ自動車協会(AAA)の予測によると8180万人のアメリカ人が少なくとも50マイル(約80キロ)以上移動する。

この数字は、昨年より160万人増加し、感謝祭の旅行記録としては史上最高となる。アメリカの人口が約3.47億人であることを考えると、約23.6%、つまり4人に1人が移動することになる。

移動手段の内訳を見ると、圧倒的に多いのが車だ。約7,300万人、全体の約90%が車で移動する。航空機は600万人、バス、列車、クルーズなどのその他の手段が約250万人だ。

AAAの旅行部門バイスプレジデント、ステイシー・バーバーは言う。「感謝祭の旅行者数は常に印象的です。この祝日は、家族と時間を過ごすために外出することと同義になっているからです」

日本と比較すると

この規模がどれほど大きいか、日本と比較してみよう。

日本で最も多くの人が移動するのは、年末年始だ。2015年のデータによると、元日に居住地と異なる都道府県にいた人は約1,300万人。日本の人口の約10%にあたる。

つまり、アメリカの感謝祭は、日本の年末年始の約6倍の規模だ。

別の視点で見ると、8180万人は東京都の人口(約1400万人)の約6倍。あるいは、日本の総人口(約1.25億人)の65%に相当する。

もし日本で同じ割合の人が移動するとしたら、約3,000万人が一斉に帰省することになる。想像しただけで、高速道路と新幹線がパンクする光景が浮かぶ。

この大移動が生み出すもの

実際、アメリカの交通網は感謝祭期間中、極限状態に達する。

交通データ会社INRIXの予測によると、最も混雑するのは感謝祭前の火曜日と水曜日の午後。帰りは日曜日が最悪だ。

具体的な数字を見ると、ニューヨークからハンプトンズへの高速道路は、通常の2.6倍の時間がかかる。ロサンゼルスからベーカーズフィールドへのルートは2.5倍。全国で479回の10キロ以上の渋滞が予測されている。

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航空券の価格も跳ね上がる。AAAのデータによると、国内往復航空券の平均価格は700ドル(約10万5千円)。感謝祭当日に飛ぶのは比較的安いが、日曜日と月曜日の帰路便が価格を押し上げる。

レンタカーの需要も急増する。AAAの提携先であるハーツによると、水曜日が最も忙しいピックアップ日になる。それでも朗報はある。今年の国内レンタカー料金は、昨年より15%安い。

「家族」を最優先する文化

渋滞、高額な航空券、混雑したレンタカー。それでも、アメリカ人は移動する。

「人々は、混雑を覚悟し、計画を土壇場で調整してでも、一生の思い出を作ろうとします」とバーバーは言う。「それが親戚を訪ねることであれ、友人と会うことであれ」

最近では、航空便のキャンセル問題で、一部の航空旅行者が車での移動に切り替えているという。それでも、人々は諦めない。手段を変えてでも、家族のもとへ向かう。

感謝祭は、アメリカで唯一、旅行者数が他のどの祝日(メモリアルデー、独立記念日)よりも多い日だ。それは、この日が単なる休日ではなく、家族と過ごすことが「義務」ではなく「喜び」として受け入れられているからだろう。

8180万人という数字は、家族を最優先する文化の強さを示しているのかもしれない。

Source: newsroom.aaa.com ほか

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