年に一度の健康診断で異常が見つかったときには、もう手遅れかもしれない。毎日の小さな変化を捉えることができれば、病気になる前に対処できるはずだ。Withingsが7年の開発期間を経て発売した「U-Scan」は、トイレに設置するだけで、何もしなくても健康データを蓄積し続ける尿分析デバイスだ。
トイレに設置して自動で尿を分析
U-Scanは直径90mmの小石型デバイスで、便器内に設置する。センサーが尿を検出すると自動でサンプルを吸引し、内蔵された生化学センサーで分析。結果は数分以内にスマートフォンアプリに送信される。ユーザーは何も触れず、トイレを使うだけでいい。
交換式カートリッジには約100回分の測定用カプセルが内蔵されており、週2〜7回の測定で最大3ヶ月使用できる。本体は充電なしで3ヶ月間設置したままにでき、付属の充電・洗浄ステーションで3時間以内にメンテナンスが完了する。
2種類のカートリッジで異なるニーズに対応
**U-Scan Nutrio(栄養管理)**は4つの指標を測定する:
**Bio-Acidity(尿pH):**食事バランスの偏りを検出。理想は6〜7
**HydroStatus(比重):**水分補給状態を数値化し、脱水を防ぐ
ケトン体:脂肪燃焼状態を確認。ケトジェニックダイエット実践者に有用
ビタミンC:栄養充足度を評価
アプリは測定結果から個別化された栄養計画と水分補給のタイミングを提案する。
**U-Scan Calci(腎臓結石予防)**は、世界の成人10人に1人が経験する腎臓結石の予防に特化。尿中カルシウム、pH、水分状態の3つを継続監視し、結石形成の兆候を事前に察知する。
コストと制約
初期投資は380〜450ドル(カートリッジ1〜2個のパッケージ)。交換カートリッジは100ドル/個で約3ヶ月ごとに必要なため、月額換算で約33ドルのランニングコストがかかる。
**重要な制約:U-Scanは単一ユーザー専用デバイスだ。 **各デバイスは1つのアカウントにしか紐付けられないため、配偶者や家族と共有できない。複数人で使いたい場合は、人数分のデバイスが必要になる。
管理栄養士への無料相談も
購入者にはプレミアムアプリ「Withings+」へのアクセスが含まれる。全米2,300人以上の管理栄養士との無料相談、24時間対応のAI健康アシスタント、複数日のデータに基づくトレンド分析が利用できる。
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さらに、AIによる健康アシスタント(24時間365日対応)、バイオマーカーのトレンドを解釈する適応的な推奨事項、複数日の尿データに基づくスマートトレンドと健康改善スコアが提供される。
「医療機器」ではなく「ウェルネス製品」として発売
Withingsは2023年1月のCESでU-Scanを発表し、Consumer Technology AssociationからSmart Home、Fitness & Sports、Digital Healthの3部門でCES 2023 Innovation Award Honoreeに選ばれた。当時は2023年第2四半期に欧州で発売予定とされ、米国ではFDA承認を待っていた。
しかし、最終的にWithingsはU-Scanを「ウェルネス製品」として分類し、FDA承認は不要となった。当初予告されていた生殖健康トラッキング用の「Cycle Sync」カートリッジは発売時には提供されない。現時点で利用可能なのはNutrioとCalciの2種類のみだ。
健康管理の民主化へ
「課題は、尿が提供する健康への洞察を、誰の習慣も変えることなくトイレに直接組み込めるほど小型の研究室に変換することだった」とWithings創業者のEric Carreelは語る。
U-Scanが示すのは、健康管理が病院での年1回の検査から、日常生活に溶け込んだ継続的モニタリングへとシフトする未来だ。月33ドルという価格が高いか安いかは、自分の健康にどれだけ投資する価値があると考えるか次第だろう。ただ一つ確かなのは、トイレが単なる排泄の場から、健康データを生成する場へと変わり始めたということだ。


